正解のない問題を解くための力

正解のない問題を解く力=「概念化力」を育んでいく上でのサプリメント的なブログです

問題解決

「概念化力を身に付ける目的とは何か?」 問題が複雑すぎて議論すらできない状況を思い浮かべてほしい

前回のブログで書いたように、私は10年の歳月をかけて“概念化”を再定義しました。 概念とは… “同類とみなされる複雑な物事や状況を俯瞰的に捉え、そこにある外見上の特徴のみならず中身のメカニズムや構成要素の関係性に着目することで、共通部分を普遍的か…

「概念化とは何か?」概念化の再定義 抽象化は見た目だが概念化は中身のロジックに切り込む

“正解のない問題を解く力”は、2018年7月から2019年9月にかけて59回に渡って連載した概念化力に関するブログです。このブログの中で、私は「概念化とは何か?」「本質とは何か?」についてさまざまな角度から切り込みました。 あれから2年、私は“計画の技術”…

プロセスを細かく書き過ぎることなく、行動規範で定着を促す

私たち日本人は、何かにつけ、緻密にルールを決めたがります。 プロセス定義も同じです。 特にエンジニア気質の人は、何でもかんでも見境なくプロセスに突っ込む傾向があります。その結果、巨大化したプロセスは利用されません。 プロセスは、サイクルに置き…

煩雑なままで複雑なルールを制定したところで定着できるはずがない(まずは煩雑さを解消し、次にシンプルなルールで秩序を生み出そう)

「なんとゴチャゴチャした組織なのか」 議論を繰り返すたびに、私はうんざりしていました。あちらを立てればこちらが立たず、どんな仕組みにすればいいのか、途方に暮れていました。 私が直面していた組織は極めて複雑でした。世界数十か国に支社をもち、扱…

決めないトップは仕事をしていない

「決めることのできないトップが多すぎる」 これは、私がコンサルタントをやっていて思うことです。 大企業の経営者から機能担当チームのリーダーまで組織の「トップ」もさまざまですが、「決めることができない」は共通して受ける印象です。 日本企業の組織…

計画は概念化だ 計画が苦手な人は計画をボトムアップでしか考えていない

事業計画やプロジェクト計画など、ビジネスの場にはさまざまな種類の計画があります。私は、ビジネス行動には「計画」か「実行」かのいずれかしかないと割り切って考えています。たとえば提案書を作成する際のキーメッセージの決定、シナリオ作成、スライド…

共感のためのポイント2 共感のストーリーを組み立てるためのテクニック

共感は、相手を理解することから始まります。 相手を理解する際のコツに関しては、以前に「6つの視点」を取り上げてすでに説明しました。6つの視点それぞれにどのような働きかけが効果的なのかを整理して締めくくりましたが、まずは、その内容を復習すること…

不用意な組織づくりは組織間に「壁」をつくる 最終的に大切なのは、縄張りを越えて考え行動する人材だ

戦略をいかにして実行に移すかを考える過程で、組織内外に必要な機能や機能間の依存関係が浮かび上がってきます。これらの機能を実現するには、組織体制や制度・ルールの見直しが欠かせません。 つまり、まずは戦略を実行に移すための機能を明らかにし、次に…

概念化力を身に付けるには、意識して、頭の中で粘土をこねる感覚を磨こう

概念化の手法に関しては、これまでも何度となく説明してきましたが、これらをすべてマスターしなければならないとなると、それだけであきらめてしまう人もいるはずです。 そこで今回は、これまでの話をいったん忘れ、イメージ的に伝えることにチャレンジしま…

現場中心の事業運営しかイメージできていない日本企業では、新しいタイプのリーダーは育たない

事業組織を、経営トップを頂点、現場を底辺とするピラミッドに例えるなら、経営トップと現場をつなぎ合わせるのが中間管理職であるリーダーの役割です。この間に満遍なくリーダーを配置している欧米企業に対し、日本企業ではリーダーは現場もしくは現場近く…

共感のためのポイント(1) 相手を理解するための6つの視点

ビジネスの現場では、どれだけ仲間を増やすことができたか、どれだけ多くの人に当事者意識を芽生えさせることができたかが大事です。 そのためには共感力が欠かせません。最終的には共感力が勝敗を左右した、そんなシーンを私は何度も見てきましたし、体験も…

エキサイティングなアイディアは共感の後に生まれる

大きな仕事を成し遂げるには、ステークホルダーとの合意形成が不可欠です。 そのためには「共感」が必要であり、共感とは「自分が創り上げた概念を相手の中に移植する作業」であることは、以前にお話しました。 共感できれば、その相手と同じ土俵で話ができ…

自分なりの「決め方」を持ちなさい

責任ある地位に就くと、毎日のように「正解のない問題」に直面します。 事業計画や商品企画の立案、顧客への提案、プロジェクトマネジメントなどはその典型です。ではなぜ、「正解のない問題」を解くのは難しいのでしょうか。 私は、2つの理由があると思いま…

概念化性能を決めるのは、具体的な例を列挙するスピードだ

概念化の能力(=概念化力)はビジネスには欠かせません。デキるビジネスマンは具体と概念の両面から考えることで、ビジネスを成功へと導きます。 とはいえ、人によって概念化力に違いはあります。この違いを決定づける要因とは、いったい何なのでしょう。 …

構造化手法を整理する(1) 概念化の流れを考える

ここまでは、概念化にまつわるあれこれを徒然にお話してきました。 このあたりで、改めて、概念化の流れを整理しておきましょう。 概念化ではまず、全体を俯瞰します。「概念モデル」がその全体像に当たります。 概念モデルは、対象の要素をシンプルに構造化…

具体と概念の両面から考えることが、結果につながる

対象に対する理解を深める上で、物事を軸の両面から捉えることは有効です。 トップダウン vs ボトムアップ 先進 vs 実用 能動 vs 受動 その際、数ある軸の中から最も適したものを選ぶことになりますが、正解のない問題を解く上で特に重要なのが「具体 vs 概…

競争優位性を考える(1) 差別化要因、KBF、コア・コンピタンスの違いを理解する

他社が簡単に真似できない方法や戦略を実行する能力を指す「競争優位性」は、ビジネスの現場でよく議論になるテーマです。 競争優位性の議論では、「差別化要因」「KBF(Key Buying Factors)」「コア・コンピタンス」といったキーワードもしばしば使われま…

「相手がなぜそんなことを言うのか」を考えなさい

議論の場には、誰しも自分なりのシナリオを持って臨むものです。 そんなとき、想定外の切り口から異なる意見を発言する人がいると、たいていの人はイラッとするのではないでしょうか。 私も、以前はそうでした。でも、今は違います。 意見の相違はシナリオの…

物事の大半は上流(=概念的に考える段階)で決まる

「私のような末端にできることはわずかしかありません」と、お客様から言われたことがあります。 彼は、「なぜ、もっと上流で手を打たないのですかね」と言葉を続けました。 私は彼に、かける言葉がありませんでした。 物事は兎角、最初が肝心です。下流より…

相手を動かすのは共感! その共感も概念化が鍵となる

多くの人が気付いているように、ビジネスの現場では、正しい意見が通るとは限りません。 それどころか、あなたの意図を汲んでもらえず、トンチンカンな反応をされることもあるのではないでしょうか。その結果、あなたの提案に相手は動いてくれず、狙った効果…

枠組みを思い描いて、散在するキーワードを見つけ出せ

前回、概念化の最初のステップは「キーワードを拾い出す」こと、そして拾い出す際のヒントをご紹介しました。 しかし実際にやってみると、これらのヒントを頭に入れて、キーワードを拾い出すのはそれほど簡単ではありません。すでに「拾い出し」にチャレンジ…

考えがまとまらない、そんなときはキーワードに着目しよう

構造化は、ビジネスの現場で非常に有用なツールです。 しかし、慣れていないと、どこから手を付ければいいかがわからない方も多いようです。そんなときは、どうすればいいでしょう。 私は、まずは「キーワードを拾い出してみる」ことをお勧めしています。 キ…

空転し続ける議論を前に進めるためのスキルとは

ビジネスの現場では、ときに結論の出ない議論が延々と繰り返される場面に出くわします。 こうした議論の特徴は、毎回、少しずつ違う着眼点から意見が出され、これまでの議論がなかったかのように話が堂々巡りする点にあります。 その原因は、以下の3つです。…

「頭を切り替えられない人は時代に取り残される」 当たり前のことだがそれが難しい

皆さんはクレイトン・クリステンセンが著した「イノベーションのジレンマ」という本をご存じでしょうか。1997年に紹介され、一世を風靡したビジネス本なので読んだ方も多いはずです。 世の中の経営者にもさぞかし大きな影響を及ぼしたのかと思いきや、その当…

構造化することで、正解のない問題を解いてみる(1) 正しい分類方法とは?

今回はちょっと趣向を変えて、実際に、ある対象を「構造化」してみましょう。 運動やモノづくりに技術があるように、構造化にも「構造化の技術」があります。 これはとても重要なことです。「技術」が存在するのであれば、訓練によって身に付けられるからで…

一度も考えたことのないテーマでは、他人の意見を鵜呑みにするしかない

前回に引き続き今回も、「役割分担」に潜む落とし穴について考えましょう。 以前にも取り上げたテーマですが、改めて考えてみてください。 皆さんは、他人が作成した成果物をいきなり見せられて、それに気の利いたコメントができるでしょうか。 例えば「次回…

最初から手分けしたがる人は多いが、これでは議論は深まらない

数回前になりますが、こんな話をしました。皆さんは覚えていらっしゃいますか? ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 大切なことは、取り組む仕事の特性を見極めることです。 これから取り掛かる仕事は、メンバー全員が経験や知…

頭の中を構造化すれば、判断力が身に付く

他人の意見を鵜呑みにしないためには、自分なりの思考ロジック(整理や分析のための枠組み)が必要です。逆に言えば、思考ロジックなしに考えても、あまり意味はありません。 思考ロジックを持って考える行為を、私は「構造化」と呼んでいます。 構造化にあ…

「本質」とは何か、簡単そうで超難題なこの質問に答える2

前回に引き続き、今回も本質について考えましょう。ずいぶん前のことになりますが、こんなことがありました。 あるお客様が、プロジェクトのコスト超過や納期遅れに悩んでいました。私は改善チームのメンバーと共に原因究明にあたることになったのです。 私…

「本質」とは何か、簡単そうで超難題なこの質問に答える1

私たちはよく「本質」という言葉を使います。では、そもそも「本質」とは何でしょうか。 実は、それを言葉で説明するのは、極めて難易度が高い作業です。 あるとき、概念化力に関するトレーニングを実施することになった私は、「本質」を言葉で説明する必要…