正解のない問題を解くための力

正解のない問題を解く力=「概念化力」を育んでいく上でのサプリメント的なブログです

概念化性能を決めるのは、具体的な例を列挙するスピードだ

概念化の能力(=概念化力)はビジネスには欠かせません。デキるビジネスマンは具体と概念の両面から考えることで、ビジネスを成功へと導きます。

とはいえ、人によって概念化力に違いはあります。この違いを決定づける要因とは、いったい何なのでしょう。

 

答えは、概念化の流れを整理する過程で見つかりました。それは「具体例を列挙するスピード」です。

 

以前に説明した「概念化の流れ」を思い出してください。

概念化では、具体と概念の両面から考えることが求められます。そのためには、まずはキーワードを洗い出し、キーワードで形づくられた構造化の枠組みにコンテンツ(中身)を埋めるという一連の流れが効果的です。実はこの間、頭の中では絶えず具体例を思い浮かべています。そして具体例を引き金にして、概念モデルをイメージしているのです。

いったん概念モデルができてしまえば、今度はそれをヒントに具体例を思い浮かべることができます。逆引きで具体例を探せるわけです。

具体例が豊富なほど検討や議論は深まるので、このサイクルを繰り返すことで概念モデルは成熟します。

このように、具体例を列挙する行為は、概念化のそこかしこで極めて大切な役割を果たしているのです。

 

「具体例を列挙するスピード」が概念化性能を決定づけるとする根拠は他にもあります。思い浮かべた具体例やそこから導かれる概念モデルのイメージは、どちらも揮発性が高いからです。

概念モデルのイメージは、具体例とほぼ並行して頭の中で閃きます。しかし、のんびり考えていたのでは、イメージは次々と消え去ります。具体例を思い浮かべるのに四苦八苦していたのでは話になりません。無意識のうちにあふれ出てくるのが理想です。

 

「具体例を列挙するスピードをアップするにはどうすればいいのでしょうか」というのは、たまにいただく質問です。もちろん先天的なものもあるとは思いますが、訓練(=繰り返し)で能力を向上させることは可能です。

そのためには、検討や議論にあたり“意識して”具体例を思い浮かべるようにしてください。具体的なシーンを思い浮かべてそこから具体的な事象を抽出し、具体的な事象から新たな事象を連想し、これらの事象の因果関係や分類を考え、不足している事象がないかと考える、これを心掛けるようにしてください。

頭は、意識しないと早く回転しません。そして、常に疑問を持ち、その答えを探求しましょう。疑問は、頭をハイスピードで回転させるための刺激として最適です。

 

努力しても、なかなかスピードが上がらない人もいるかもしれません。

そんな方は、思い浮かんだ具体例を書き留めることから始めてください。単なる備忘録ではありません。書き留めたものを眺めていれば、そこから新しい具体例を連想できるからです。さらに、そこから湧き上がってくる概念モデルのイメージも、後回しにしないでその場で書き留めてください。

私も同じ方法で、概念化力を鍛えています。

 

こんなことがありました。

 

コンサルタントという職業から、私は、経験や予備知識のない業界で仕事をすることが少なくありません。すでに猛スピードで走っている車に飛び乗るように、お客様の検討チームに途中参加しなければいけないこともあります。

 

そんなある日、私はメンバーのひとりに「まったく知らない業界だったとは思えないくらいに話についてきますね。まるで、うちの現場を長いこと見てこられたかのようです」と言われました。

もちろん、お世辞も含まれていたでしょうが、それだけではありません。これは私が鍛え上げてきた「具体例を列挙するスピード」の賜物なのです。

 

数多くの現場で具体例を思い浮かべ、概念モデルに組み上げてきた経験は、業界は違えども、さまざまな業務パターンや行動パターン、意思決定パターン、刺激に対する反射のパターンなどに形式化され、私のからだに染みついています。これが私の「具体例を列挙するスピード」につながっています。

このスピードの速さが、お客様に「まるで、うちの現場を見てきたよう」と思わせたのでしょう。

 

実はこんな経験は、一度や二度ではありません。

私は今でも、概念化力を鍛え続けています。

 

 

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