正解のない問題を解くための力

正解のない問題を解く力=「概念化力」を育んでいく上でのサプリメント的なブログです

計画は概念化だ 計画が苦手な人は計画をボトムアップでしか考えていない

事業計画やプロジェクト計画など、ビジネスの場にはさまざまな種類の計画があります。私は、ビジネス行動には「計画」か「実行」かのいずれかしかないと割り切って考えています。たとえば提案書を作成する際のキーメッセージの決定、シナリオ作成、スライドごとのメッセージの選定なども、すべて計画だと考えています。

 

そこでひとつ宣伝させてください。

 

私は2013年に翔泳社から「実行に効く 計画の技術」という本を出しました。「計画のコツ」を概念化した本です。この本では、計画を「日程計画」「予算計画」「仕様計画」の3つのカテゴリに分けて単純化しています。

提案書作成、製品設計、イベント実施要領作成などに伴う計画は「仕様計画」に分類されます。日程計画や予算計画に先立つのがこの仕様計画で、ビジネスの成功を左右する、とても大切な計画です。この本の功績は、仕様計画という計画カテゴリを確立したことにあると言っても過言ではありません。

日程計画や予算計画のコツを理解できれば、仕様計画もできるようになります。自分で言うのもなんですが、実は、これはすごいことなのです。

この本の中では、一番大切なことは「何を検討すればいいのか」を考えることだと説明しています。これは、概念化の心構えと同じです。計画は概念化の代表格なわけですから当然と言えば当然の話です。

そんなわけで、この本は、皆さんが概念化力を身に付ける上での第一歩となること請け合いです。興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。

 

さて、計画の得手、不得手は人によってさまざまです。私から見れば、日本人は概ね計画が苦手なのですが、それでも以前と比べれば、得意な人が増えてきています。

 

計画が苦手な人には次のような特徴があります。

 

  • 義務感で計画をするので、計画の目的を忘れ、計画を立てることが目的になってしまっている。
  • 計画対象を頭の中だけでざっくり把握し、分かった気になっている。
  • 高い位置から俯瞰せず、いきなり詳細からスタートし、隅から隅まで同じ調子で計画を立てる。
  • メリハリをつけて考えることが苦手で、不要な箇所まで詳細に計画する。
  • 確実なことを書きならべただけで、それが計画だと勘違いしている。

 

計画が得意な人はこの逆で、計画に対する心構えも違えば、でき上がってくる計画のレベルも違います。全体を高い位置から俯瞰するので、前提が間違えていたり、特定の箇所に拘り過ぎていたり、まったく検討していない箇所があったりということはありません。しかも計画が論理的です。

これはビジネスにとって、とても大切なことです。なぜなら、計画は自分のためのものであると同時に、実行に移す際にはチーム全員のためのものだからです。

計画が得意な人が立てた計画は論理的に構成されているため、全体のバランスがよく、他人が見ても計画者の意図を容易に理解できます。過度に詳細化されていないので見る側は楽ですし、実績の反映や計画変更も容易です。不確実な箇所も、仮説としてしっかりと予測されています。

 

もうお判りですね。計画が苦手な人はそもそも概念化が苦手で、計画を「具体的領域」だけで考えてしまっているのです。

これに対し、計画が得意な人は、「具体的領域」と「概念的領域」を行き来しながら計画を立てます。ある時は概念的な領域で計画を作成してから具体的な領域に落とし込み、またある時は具体的な領域で発生している出来事やそこでの予測をもとに、概念的な領域で計画を作成します。

具体的領域だけで作成された下手くそな計画も、具体的領域と概念的領域を行き来しながら作成された上手な計画も、でき上がってきた計画が具体的だという点では同じですが、計画上図の計画は、読み手に計画の根拠や意図が伝わるという点で、デキがまったく違います。

 

改めて、上手な計画の特徴を整理して終わりにしましょう。

 

  • 前提が明確になっている。
    • 計画の前提が具体的な内容で記述されている。
    • 目的と目標、目標と利用可能な資源が適切な関係にある。

 

  • 論理的に検討されている。
    • 網羅性が高い。
    • 各部が、実行に移しやすい適切な詳細度になっている。
    • 要素間の関係性がわかりやすい。
    • 色分け(分類)ができている。
    • 優先順位が付けられている。
    • 理由や根拠が浮かび上がってくる。
    • メンテナンスが容易である。

 

  • しっかりと予測されている。
    • 不明な点や不確実な点が明らかにされている。
    • 検討が不十分なまま放置されている箇所がない。
    • 仮説を含んでおり、仮説の内容が明らかになっている。
    • 計画に使った情報(定性、定量)が、別途、共有されている。
    • しっかりと調整され、合意されている。

 

私は、このような要素が備わった計画を「実行に効く計画」と呼んでいます。

今さらですが、計画は目的ではなく、目的を達成するための手段です。計画が下手くそな人は、単に「できあがった計画が下手なだけ」ではすみません。これでは、ビジネスの成功がままなりませんから。

 

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