正解のない問題を解くための力

正解のない問題を解く力=「概念化力」を育んでいく上でのサプリメント的なブログです

現場中心の事業運営しかイメージできていない日本企業では、新しいタイプのリーダーは育たない

事業組織を、経営トップを頂点、現場を底辺とするピラミッドに例えるなら、経営トップと現場をつなぎ合わせるのが中間管理職であるリーダーの役割です。この間に満遍なくリーダーを配置している欧米企業に対し、日本企業ではリーダーは現場もしくは現場近くに配置されており、現場をうまく取りまとめることのできるリーダーが理想のリーダー像とされてきました。

日本企業の多くは、いまだにこのタイプのリーダーたちに依存して事業を運営しています。

ところが、彼らの活動の場が現場である以上、目の届く範囲は限られます。誰かが意識的に全体像を提供しない限り、目の前のことが「すべて」になるのはやむをえないことですが、これが組織力の弱さにつながっています。

 

ビジネス環境は今や、以前のように単純ではありません。「選択と集中」という言葉がもてはやされていることからもわかるように、現場が勝手な判断で行動することがマイナスに作用することは少なくありません。ガバナンスの下で組織全体が連携し、相乗効果を高め合うことが求められているわけです。

そんな中、求められるリーダー像も変化しています。現場目線だけのリーダーでは結果を残せなくなっているのです。

 

かつての「理想のリーダー像」を捨て去る必要はありませんが、時代に合った新たなリーダーを育て上げなければならないのも事実です。

 

新しいタイプのリーダーは、ピラミッドの縦軸で活動します。

例えば、経営トップは事業環境を大きくとらえて方針や戦略を決めなければならないので、誰かがそれを手伝わなければなりません。そのためには、情報提供と提案を担うリーダーたちが必要です。

事業方針や事業戦略の落とし込みも、一筋縄ではいきません。これまで、日本企業はこの部分を軽視してきました。ここでは、方針や戦略という「概念的領域」の成果物を、現場という「具体的領域」にきっちりと落とし込む必要があります。そのためには、両者を隔てるカオスの川を行き来できる「結果を出せるリーダー」が欠かせません。

 

そこで気になるのが、新しいリーダー像です。従来型のリーダーにはないどのような資質や能力が求められるのでしょうか。

ひと言でいえば、新しいタイプのリーダーは、概念化力と共感力を併せ持ったリーダーということになります。

具体的な例を、思いつくままに書き上げてみましょう。

 

  • さまざまな階層から獲得した情報を論理的思考で整理し、全体像を描き出すことができる
  • 全体像を具体的なイメージや事例に置き換え、周囲の人々にうまく伝えることができる(= 周囲の共感を得られる)
  • 経営トップからも現場からも信頼が厚い
  • 上下双方の質問や疑問に対して一貫した答えを持っており、矛盾を起こさない
  • 高圧的なところがなく、現場の誰からも親しみやすく、話しかけやすい

 

すべてのリーダーが、新しいタイプのリーダーである必要はありません。日本企業の現場力を活かすには、現場密着の従来型のリーダーも欠かせません。冒頭に「誰かが意識的に全体像を提供しない限り…」と書きましたが、これを担うのが、まさに新しいタイプのリーダーなのです。

 

新しいタイプのリーダーは、放っておいては育ちません。組織が強い意志をもって働きかけるしかありません。

 

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