正解のない問題を解くための力

正解のない問題を解く力=「概念化力」を育んでいく上でのサプリメント的なブログです

頭の中を構造化すれば、判断力が身に付く

他人の意見を鵜呑みにしないためには、自分なりの思考ロジック(整理や分析のための枠組み)が必要です。逆に言えば、思考ロジックなしに考えても、あまり意味はありません。

 

思考ロジックを持って考える行為を、私は「構造化」と呼んでいます。

構造化にあたっては、考える対象に関わる要素を洗い出し、パワーポイントやエクセルなどのツールを使って、それらの相互関係や包含関係を図表で整理することになります。

 

相互関係や包含関係を整理する上で利用する構造化のパターンは、主に次の3つです。

 

   ツリー型

   マトリックス

   フロー型

 

このパターン自体は、別段、目新しいものではありません。皆さんも知らず知らずのうちに、これらのパターンを使って頭の中を整理しているはずです。

ただし、これを意識して使い分けている人はあまり多くありません。

なんのイメージもなく、あれこれと構造化を試みるのは苦痛ですし、時間もかかります。その点、この3つのパターンに決めつけて構造化するのは極めて健全なアプローチと言えます。

 

さて、話を戻しましょう。構造化によってどのようなメリットが生まれるのでしょうか。思い付く限り列挙してみましょう。

 

   理論構造の不備がわかる

   洗い出した要素の抜けや重複がわかる

   過去の事実と関連付けて理解できる(=腹落ちする)

   優先順位が明確になる

   具体的な要素を全体像の中で位置付けられる

   これまで気付いていなかった価値に気付ける

   上位の新たな価値を発見できる

   反対する人の反対理由を理解できる(=相手との世界観の違いがわかる)

   裏に隠れたリスクや課題に気付ける

   本質を見極められる

 

皆さんも、人の説明を聞いて「何かピンとこない」と感じたことがあるのではないでしょうか。

それは、多くの場合、相手の説明が構造化されていないことが原因です。逆に、構造化されている説明は、聞いている相手に「スカッ!」とした感覚を与えます。頭の中を、説明者の頭の中と同じように構造化できたからです。

この感覚が大切で、それから先は会話がカッチリとかみ合うようになります。交渉ごとなどは共感が大切ですが、共感はこのような感覚から生まれるものです。

 

私自身、日々の仕事で構造化することの有用性を痛感しています。成果物レビューや議論の場はもちろん、1人で考えを巡らす際にも効果的です。また、自分のアイディアや周囲の意見の良し悪しを判断する上でも、構造化は欠かせません。

「構造化」は、現代のビジネスマンが身に付けておくべき重要なスキルの1つなのです。

 

いつものように例を挙げて、理解を深めていただくことにしましょう。

 

以前に、かみ合わない営業と開発者の話をしました。以前はお客様のほぼ全員が最先端を期待していましたが、今は客層が最先端派とコストパフォーマンス派に二分されているという話でしたが、この全体像を共有したことでお互いを理解し合えたところで話は終わっていました。

このあとはどうなったのでしょうか。

 

実はそのあと、彼らは市場の構造化に取り組みました。使ったパターンは「マトリックス」です。

 

  マトリックスの縦軸 使用目的(上が技術部門で、下が営業部門)

  マトリックスの横軸 年齢層(左が若手で、右がベテラン)

 

このマトリックスを眺めながらの熱のこもった議論が始まったのは、言うまでもありません。

 

営業       「こうしてみると、ベテランは今の機能でさえ満足に使えていないなあ。私のお客様は          第一象限、つまり営業部門のベテランです」

開発       「技術部門の人には今でもスペック不足ですが… 営業さんにはこれ以上のスペックは          必要ないでしょうね。今のスペックで十分です」

営業       「若手なら、営業であってもさらに上の機能、性能を使いこなせると思う」

 

議論の結果、以下のことが決まりました。

 

   マトリックスの各領域で、買い替え動機と平均的な買い替えサイクルを明らかにする。

   情報収集を目的に、各領域に対して聞き取り調査を実施する。

   上記の結果をもとに、新商品のターゲットセグメントとコンセプトを決める。

 

もうおわかりでしょう。

これが構造化の力なのです。

 

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