正解のない問題を解くための力

正解のない問題を解く力=「概念化力」を育んでいく上でのサプリメント的なブログです

グローバル競争時代を勝ち抜くには、コトに着目し、「選ばれる理由」を中心に提案を組み立てよう

大半のビジネスで、私たちはお客様に選ばれなければなりません。そのためには「選ばれる理由(なぜ自分たちが選ばれるのか)」を提案書に盛り込んでおかなければなりません。

ところが、大半の日本企業はそれを怠っています。

 

例えば要求仕様がお客様から提示されているような場合、ベンダーの提案内容には何のサプライズもありません。何十枚もの提案書は、要約すれば「自分たちは皆さんの要求を実現することができます」と言っているに過ぎません。

 「差別化」を口にしないベンダーはいませんが、それとは裏腹に、彼らは「お客様の要求に応えることこそが自分たちの唯一の存在価値だ」と信じて疑いません。

こうして、優劣の付けようもない、何の特徴もない提案書ができ上ります。提案書の作成者は実現方法や技術表現の端々に自分たちの強みを入れ込もうと躍起になりはしますが、その努力がお客様の目に留まることは稀です。

結果的に、勝敗は時の運に委ねられることになります。

 

日本国内で戦っているうちは実感がないかもしれませんが、グローバルで戦うときにはこれでは通用しません。

この状況に拍車を掛けるのが日本企業の「技術第一主義」です。

 

日本企業がお客様の場合、そのお客様のビジネスが「B to C(エンドユーザーを相手とするビジネス)」であったとしても、お客様からの要求仕様は機能や性能といった技術要素を偏重していることがよくあります。ベンダーも技術の側面からしか要求仕様を理解しようとせず、実現手段も技術に偏ります。

これが、グローバルでの日本企業の競争力を低下させています。

「できない」「遅い」「粗い」「重い」「壊れる」といった技術課題がエンドユーザーを苦しめていた時代ならいざ知らず、技術が驚くほどに進化した今、エンドユーザーにはGood enough(今のままでもう十分だ)の時代が到来しています。こうなってしまうと、技術は競争力を失います。

「技術第一主義」から抜け出せない日本企業は、お客様もベンダーも共倒れの状況に陥ってしまいます。

 

いずれにせよ、お客様の購買意欲に火をつけ「唯一の取引先」として選ばれたいなら方法はひとつ、これまでとは違う価値観に目を向けることです。そこで着目したいのが「豊かさ」「楽しさ」「愉しさ」といったコトに関するキーワードです。

 

コトに着目した「選ばれる理由」(例)

 

  • 見た目のデザイン
  • 操作性や視認性
  • ブランド力
  • 手に入れやすさ
  • コンテンツの充実
  • 手軽さ(すぐに始められる、すぐに楽しむことができる…)
  • 周辺デバイスの充実
  • メンテナンス上の利便性
  • 既に所有しているものとの連携や有効活用
  • インフラとの連携や有効活用

 

ところが、そうは言っても「選ばれる理由」を見つけ出すのは並たいていのことではありません。

そこで、ポイントを3つほど紹介しましょう。

 

Good enoughのこの時代、他社を出し抜くには、お客様が口にする課題を分析してするだけでは不十分です。お客様や市場関係者すら気付いていない、隠れた「要求」や「期待」、想像もつかない実現手段が存在するからです。

そこで大切なのが「観察」です。専門家の目でお客様を徹底的に観察したとき、はじめて「選ばれる理由」は浮かび上がってきます。

これが1つ目のポイントです。

 

ところが、いくら観察しても、決定的な「選ばれる理由」が見つからないことはあります。そんな時は、自分たちが「選ばれる理由」をお客様に新たに刷り込まなければなりません。具体的にはお客様への刷り込みの機会を伺うことになるわけですが、そのためには、信頼関係に基づくお客様との継続的なコミュニケーションが欠かせません。

このような刷り込み作業は「デザインイン」もしくは「スペックイン」と呼ばれ、長期に渡ります。人が動くからにはお金が発生しますが、たいていの場合、これをお客様からいただくわけにはいきません。お金と時間がかかることだけに、このフェーズではベンダーの底力が試されます。

これが2つ目のポイントです。

 

また、機能、性能を自分たちの強みだと勘違いしている人たちは、デモンストレーションや商品説明資料を通じて商品やソリューション(解決手段)の素晴らしさを見せびらかせたがります。ところが、こうして実現手段が明らかになった瞬間にお客様の関心はコストへと移り、似たような機能や性能を安価に手に入れようと競合ベンダーに話を持ち掛けます。これが「価格競争」の始まりです。

こうなってしまったら「選ばれる理由」を刷り込むことは不可能です。

これが3つ目のポイントです。

 

戦いは、提案のはるか前から始まっているのです。

 

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