正解のない問題を解くための力

正解のない問題を解く力=「概念化力」を育んでいく上でのサプリメント的なブログです

ネタ帳にアイディアを残す癖が、苦しいあなたにブレイクスルーをもたらす

アイディアは、所かまわず浮かんできます。

なにも、机に向かっているときばかりとは限りません。私の場合は湯船につかっているときや電車で吊革につかまっているときなどが多い気がします。

そんな時にこわいのは、せっかくのアイディアを忘れて思い出せなくなってしまうこと。アイディアは揮発性が高いので、できるだけ早くメモをとるしかありません。

 

アイディアに限らず、思い付いたことはカタチに残す癖を付けましょう。

概念は、頭の中で考えているだけでは育ちません。堂々巡りを繰り返すのが関の山です。

そして、アイディアがフレッシュなうちに、頭の中のイメージを図(=構造モデル)にしておくように心がけましょう。ここでも、これまで何度もお話してきた「構造化の基本形(=ツリー型、マトリックス型、フロー型)」を思い浮かべれば、そう難しいことではないはずです。

 

以前に、こんなことがありました。

 

私は、マーケットセグメンテーションのことで頭がいっぱいでした。マーケットセグメンテーションとは特性によって市場を分類する作業のことで、市場戦略の入り口に位置します。このデキが市場戦略の良し悪しを左右すると言っても過言ではない、大切な作業です。ところが、マーケットセグメンテーションで使う分類の軸は、ケース・バイ・ケースで数限りなく存在し、それが難しさにつながっています。

 

私は悩んでいました。

机でパソコンに向かって考えても、浮かんでくるのは「事業規模」や「地域」といったありふれたものばかりだったからです。

 

そんなある日、私は例によって通勤電車に揺られていました。

頭の中はマーケットセグメンテーションのことでいっぱいでしたが、それに反して私は、外の流れる景色をボーっと眺めていました。

すると不思議なもので、そんな時に限ってアイディアは浮かんできます。

 

「最先端を追求するか、しないか」

 

かつて使ったことのなかったこの分類軸に私は光明を感じ、すかさずスマホにメモしました。

「もうひとつの軸が見つかれば、マトリックス表を完成できる」

私はメモを眺めながら、新たなイメージを追い求めました。

 

「最先端を追求するか、しないかは、エンドユーザー(お客様のお客様)に関連する軸だ」

「これに対抗できる軸がひとつあるとすれば、それはきっと、お客様の内部事情に関するものに違いない」

「よし、この線に絞ってかんがえよう」

 

そんな私に、コンサルタントにとっては使い慣れたはずの言葉が、いつもとは違う新鮮味をもってよみがえってきました。それは「開発投資規模」という言葉でした。

 

「最先端を追求するか、しないか」のすぐ下の行に「開発投資規模」と書き加えてみると、なかなかいい感じでフィットします。

私はそれを反芻した後、メモを自分あてに送信しました。

 

オフィスに着いた私は、早速、パワーポイントを立ち上げ、ボックス図形を4つ並べて、マトリックス表を作成しました。縦軸に「最先端を追求するか、しないか」、横軸に「開発投資規模」と書き込みました。

そして次の瞬間、ガッカリしました。

 

「最先端の性能を実現するには、投資規模は大きくなるに決まっている」

「思うように投資できないなら、普及した技術を組み合わせて価格勝負するしかない」

 

つまり、「最先端を追求するか、しないか」と「開発投資規模」の間には正の相関関係が成立しており、これらを対抗軸とするマトリックスにはまったく意味がないことに気付いたのです。

 

状況は電車の中に逆戻り。

私は、役立たずのマトリックス表に目をやりながらお客様を思い浮かべ、彼らの内部事情をえぐり取るような軸はないかと考え続けました。

思い浮かんだものがあるとマトリックス表に書き加え、表の内側に代表的なお客様の名前を書き込んでみたりもしました。

 

その甲斐あってか、帰りの電車の中で、再びアイディアが降ってきました。

 

「自前できる技術があるか、それとも外部から調達してこざるをえないのか」

 

自宅に戻った私は、ふたつの軸を組み合わせたマトリックス表を作成しました。

これまでとはまったく違う発想を引き出すその表こそ、私が追い求めたものでした。

 

以前に見たテレビ番組で、ある芸人さんがこんなことを言っていました。

 

「私のネタ帳は、これで20冊目です」

 

たいていの芸人さんはいつもネタ帳を持ち歩き、思いついたネタをメモしています。たまにそのネタ帳を見直し、ネタとネタを組み合わせながら、漫才やコントの台本を書くそうです。

私たちも、この執念を見習わなければなりません。パソコンに向かっているだけでは、人を感動させるようなアイディアはなかなか浮かんできませんから。

 

 

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