正解のない問題を解くための力

正解のない問題を解く力=「概念化力」を育んでいく上でのサプリメント的なブログです

目標は”決める”のではなく”決まる”ものであり、目標達成の手段は”積み上がる”のではなく”積み上げる”ものである(2)

前回、目標設定はトップダウン型が基本である、という話をしました。

ところが、仕事の現場ではこんな話をよく耳にします。

 

「上が勝手に決めた数字なんて達成できやしないよ」

 

このような会社では、往々にして2つの目標が設定されます。

1つはトップダウンで決めた数字、もう1つが現場で勝手に決めた「このくらいが現実的」と考える数字です。

これでは、トップダウン型の目標を達成できるはずありません。

 

トップダウン型の目標は、以下のプロセスを経ることで達成されます。

 

<トップの仕事>

1.目的を決める

2.目的と整合した目標を設定する

 

<現場の仕事>

3.目標達成に向けて手段を洗い出し、手段の実現性を評価する

4.手段の成果(期待値)を積み上げることで、目標を達成できるか評価する

5.目標達成できそうになかったら、新たな手段を追加し、手段の実現性を評価する

6.手段の実行状況を把握するための評価指標を設定する

 

通常、45はループすることになります。つまり、現場は「目標達成できると腹落ちするまで、手段を積み上げる」のです。

上が決めた目標だから関係ないと考えるのではなく、「どうすれば目標を達成できるか」を必死になって考えるわけです。

 

私がかつて所属していた外資系企業には、トップダウン型の目標を達成するための「リズム・オブ・ビジネス」という仕組みがありました。

以前にもお話しましたが、この会社では、会計年度の前半はマネジメントチームが世界を巡って各地域の情報を収集し、後半は、それらの情報に基づいた目標を各地域に伝えていました。この恒例行事が「リズム・オブ・ビジネス」の背骨でした。

目標を設定された地域のメンバーは、目標達成に向けて実行計画を作成し、それをマネジメントチームに伝え、問題がなければ合意します。

 

「国内の景気悪化をあれほど伝えたにも拘わらず、こんなに高い目標数字を設定するとは…」というのは、マネジメントチームから目標を伝えられたときのメンバーのぼやきです。

とはいえ、この会社では本社が決めた数字をいまさら覆すことなどできません。彼らは寝る暇もなく議論し、新たな手段をひねり出し、実行計画を作成していました。

 

現場重視の日本企業で育った人の中には「なぜ抵抗しないのか」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

クビになりたくないというのはもちろんあります。しかし、もう1つの理由があります。マネジメントチームは、各地域が作成した実行計画を評価し、その実現性を認めれば、新たな手段を講じるために必要な投資を許可するからです。目標数字が決定した後も、投資枠はオープン状態にしているのです。

トップダウン型の目標を実現するには、このような血の通った仕組みが必要です。

 

トップが目標を設定し、現場が目標達成に向けて手段を積み上げることで、ビジネスを成長させているのです。

 

余談ですが、外資系企業にはじめて就職したときに、ある先輩から教えられた話が今でも忘れられません。

 

先輩曰く、

 

この会社では、達成目標をコミット(=確約)しない営業は評価されない。

 

評価が一番いいのは、売上目標をコミットして、しかも達成できたヤツ。

その次にいいのは、売上目標をコミットしたが、達成できなかったヤツ。

さらにその下は、売上目標をコミットしないで、結果的に、誰よりも多く売り上げたヤツ。

一番下が、売上目標をコミットしないで、しかも売り上げが少なかったヤツ。

 

最後のヤツはクビになる。

二番目のヤツはクビにならないが、三番目のヤツは、下手をするとクビになる。

 

どうでしょう。

皆さんの感覚とは、二番目と三番目が入れ替わっていませんか?

 

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